正論が嫌われる理由とは?理屈だけでは伝わらないコミュニケーションの落とし穴。

コミュニケーションスキル

正論だけでは伝わらない? 理屈と感情のバランスが重要な理由。

仕事でも日常生活でも、「正論を言ったのに相手が納得してくれない」「理屈では正しいのに反発される」といった経験はありませんか?

私自身、理屈だけで話を進めようとして大きな失敗をしたことがあります。その経験から学んだのは、「人は理屈だけでは動かない」ということ。今回は、正論を振りかざした結果、コミュニケーションがうまくいかなかったエピソードを紹介しながら、理屈と感情のバランスの重要性について考えていきます。


正論を振りかざした結果、関係が悪化した失敗談。

忘れられない学習塾でのアルバイト経験。

私は大学生時代、学習塾でアルバイトをしていました。3年目ともなると、講師としての経験も増え、それなりに指導にも自信を持っていました。

そんなある日、社員の講師から「新しく担当してほしいクラスがある」と打診を受けました。内容を聞くと、

  • 中学2年生の少人数クラス。
  • モチベーションが低く、講師への反抗的な態度が目立つ。
  • 生徒のキツさから、講師が毎月辞めてしまう状態になっている。

という、なかなか手ごわいクラス。

「これは大変そうだな」と思いつつ、「特別な役割を任せてもらえるのはやりがいがある」と感じた私は、引き受けることにしました。

最初は順調だったものの、やってしまったミス。

担当し始めた最初の2回の授業は、特に問題なく進みました。しかし、3回目の授業で大きなミスを犯してしまいます。

ミスのキーワードは、正論「だけ」のコミュニケーション。

前回の授業の終わりに生徒たちから「国語の試験対策もやってほしい」というリクエストを受け、次回の授業の30分前に集まるよう約束しました。しかし、当日塾に早く到着したのは私だけ。生徒たちはいつもの時間になっても誰も来ず、結局、通常の授業を始めることになりました。

さらに、その日の授業では「ノートを忘れた」「宿題をやっていない」といった、だらけた態度が目立ちました。

ここで私は、 正論で叱る というミスをしてしまったのです。

「国語の対策はみんなが頼んできたことだよね?」

「宿題もやってこないって、どういうこと?」

言っていることは間違っていないはず。しかし、その後の授業の雰囲気は最悪に。

それ以降、生徒たちは私に対して無視をするようになり、コミュニケーションは必要最低限に。授業は毎回、殺伐とした雰囲気になってしまいました。

振り返ると、このとき私は生徒の感情に配慮せず、正論だけで接してしまっていた のです。


なぜ正論は嫌われるのか?

「正しいこと」よりも「納得できること」が重要。

どれだけ理屈が正しくても、相手の感情が受け入れなければ、人は動きません。

人は、 「自分を理解してくれる人の話」を聞く傾向がある ものです。特に、今回の塾の生徒たちのように、自分の意志で通っているわけではない状況では、感情的な納得が重要になります。

理屈と感情のバランスの大切さ。

理屈(正論)は、相手が納得できる土台を作るためには必要です。しかし、それ「だけ」では人は動きません。感情面にも配慮しながら伝えないと、反発を招くだけになってしまいます。


正論を伝えるために必要な3つのポイント。

① 相手が置かれている状態を想像し、理解する。

自分の正論を相手にぶつける前に、そもそも相手が置かれている状況を想像しましょう。

今回のケースでは、

  • 生徒たちは、自分の意思で塾に通っているわけではない。
  • 勉強すること・塾に通うことに対するモチベーションが低い。
  • 講師が頻繁に代わり、自身もまだ3回目で完全には信頼を得られていない。

など、正論を伝えて受け取ってもらえる状態が、そもそも整っていなかったのです。

それを想像できていれば、自分が取るコミュニケーションを変えることができたでしょう。

② 相手との信頼関係を構築する。

理屈と感情のバランスにも通じますが、コミュニケーションには「何を言うか」という要素と「誰が言うか」という2つの要素があります。

今回のケースでは、「誰が言うか」の点で、私はまだ「正論を言われても構わない関係の人」になれていなかったのです。

その関係が築けていたのであれば、ここで正論を伝えても、クラスの崩壊は避けられたと思います。

③ 共感を示しながら伝える。

相手の言い分や話を聞いてから、自分の主張を伝えることも大事です。

今回のケースでは、宿題をやってこなかった理由や背景を聞かずに、遅刻してきたことと併せて正論を振りかざしました。

例えば、

「今日は宿題やってこなかったんだね。でも、どうしてかな?」

と、まずは話を聞く姿勢を示すことで、相手も話を受け入れやすくなります。


まとめ。

どれだけ理屈が正しくても、それだけでは人は動きません。

「正論+共感」 のセットが、良好なコミュニケーションのカギです。

相手の感情に配慮しながら伝えることで、意見を受け入れてもらいやすくなります。

ぜひ、日常生活や仕事の中で「正論を言う前に、相手の気持ちを考える」ことを意識してみてください。

そうすることで、より円滑な人間関係を築くことができるでしょう。

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