転職を考えるとき、あなたはこんな迷いを感じたことはありませんか?
- 「今すぐ転職する気はないけど、応募していいのかな?」
- 「やりたいことが決まっていないのに、動き出してもいいのか?」
新卒の就職活動とは異なり、転職活動には明確な開始時期や終了時期がないため、不安を感じるのは当然です。実際、多くの人が「転職活動を始めるべきか」を迷いながら悩んでいます。
この記事では、そんな悩みを抱えるあなたに向けて、転職活動をすることのメリットと、注意しておきたいポイントを解説します。
「転職すること」と「転職活動をすること」は別ものである。
転職活動を始める前に知っておいてほしいのが、この大前提です。
「転職すること」と「転職活動をすること」はまったく別の行動だということ。
- 転職すること
現在の職場を退職し、新しい職場で働くことを指します。 - 転職活動をすること
求人情報の収集や応募、企業との選考プロセスを進めることを指します。
つまり、転職活動をしても、必ずしも転職する必要はないのです。この点を理解するだけで、気持ちが少し楽になるのではないでしょうか?
転職活動を始めるメリット。
1. 市場価値を知る機会になる。
転職活動をすることで、現在のスキルや経験が転職市場でどのように評価されるかがわかります。
- 求人情報を読むことで、どんなスキルが求められているのかを知ることができます。
- 面接を通じて、企業側から直接自分の強みや可能性をフィードバックしてもらえることもあります。
2. 自分のキャリアを見直せる。
応募する企業を選定したり、企業の話を聞くという過程で、以下のようなことが整理されます。
- 「自分のやりたいことは何か?」
- 「今後、どのようなキャリアを築きたいか?」
3. チャンスをつかむきっかけになる。
「良い求人は突然出てくる」と言われるように、準備していなければ気づけないチャンスがたくさんあります。動き出しておくことで、理想的な求人に出会える可能性が広がります。
応募の基準は「一次面接に行きたいかどうか」。
応募に迷う方は、「この会社に内定をもらったら行きたいかどうか」という基準で考えてしまいがちです。しかし、この考え方だと、動き出せなくなるケースが多いです。
代わりに、次の基準を取り入れましょう。
- 「この会社の一次面接を受けて、直接話を聞いてみたいか?」
求人情報だけでは、その会社が自分に合っているかどうかを判断するのは難しいものです。一度面接を受け、直接話を聞くことで、より多くの情報が得られます。
この基準をおすすめする理由は、「誰にも迷惑をかけず、可能性を模索できる、絶妙な基準である」からです。
まず、誰にも迷惑をかけず、という点についてです。
すでに書いた通り、応募前の時点で入社したいかどうかを判断するのは難しいですよね。一方で、「応募して書類選考が通ったのに1次面接にも行かない」となると、今度は人の手をかけて書類選考をして面接の準備をしてくれた企業側に迷惑が掛かります。エージェントが間に入っている場合は、そのエージェントにも迷惑が掛かりますね。よって応募するからには1次面接に行く、という点はしっかり守るようにしましょう。
次に、可能性を模索できる、という点についてです。
これは、言い換えると「求人票の何倍もの情報を、面接では得られる可能性がある」ということです。面接に行くと、五感で情報をインプットすることができます。
• 案内をしてくれた社員の方がとても感じがよかった。
• 18時頃面接に行ったら多くの社員の方々が既に退社されていて働きやすそうだと感じた。
• オフィスを覗いたら社員の方々が雰囲気よく楽しそうに働いていた。
など、非定型の情報を得られる可能性があります。
上記はポジティブな情報ですが、ケースによってはネガティブな情報を感じ取ることもあるでしょう。
もちろん、会社や担当業務の内容についても、面接の場で説明をいただけることが多くあります。
就活のときは、どの企業も面接の前に丁寧な会社説明会を実施するのですが、中途の場合はそういったケースがほとんどありません。
それを補完する意味でも、1次面接の中で詳しい説明をしてくれることが多いのです。
よって、WEB上で求人票を眺めているときに比べ、面接では自分が入社したい会社かどうかを判断する材料が何倍も得られるわけです。
実際、1次面接前に「志望度が低いので面接を辞退したい」と言っていた方が、1次面接を受けた後に「だ、第一志望になりました!」とおっしゃるケースは数多くあります。
仮に「やっぱり違うと思いました」と思っても、何が自分にとって違うと思ったのかを自分で言葉にすることで、自分にとっていい会社を見つける視点を得られます。
私自身も、求人票を見て「仕事内容はいいな」と思って1次面接を受けたのですが、面接官の頭の回転が速すぎて「自分はついていけないかも……。」と感じたことがありました。そう思ったことが、後々転職先を決める際のヒントになったので、その面接を受けてよかったな、と思っています。
これが、1次面接に行くことによって得られる「可能性を模索できる」というメリットです。
ぜひ、応募するかどうかの基準を「内定が出たら行きたいと思うか」ではなく、「1次面接に行ってみたいか」というものに設定してみてください。
転職活動の注意点。
1. 最低限の準備をして面接に臨む。
転職する意思が固まっていなくても、面接を受ける際は最低限の準備が必要です。以下の項目を整理しておきましょう。
簡単な自己紹介(1分程度)
転職理由(なぜ考え始めたのか)
志望動機(なぜその企業に興味を持ったのか)
逆質問(企業への質問を3~5個準備)
2. リサーチするのは公開情報だけでOK。
企業研究は、新卒時代のように徹底する必要はありません。ただし、最低限以下の点を調べておきましょう。
ビジネスモデル(企業のホームページから):何を提供し、どう収益を得ているのか。
応募ポジションのミッション(求人票から):どんな役割を求められるのか。
3.内定には回答期限がある。
内定をもらえたとしても、必ずしもその会社に転職する必要はありません。
しかし、内定には回答期限(入社するか・辞退するかの返事をする期限)が設定されるのが一般的です。概ね、合格の通知を受けてから1週間程度の期間で設定されます。(ケースによってはそれより長い・短いが発生します。)
回答期限までには、入社するか辞退するかの返事ができるよう、準備しておきましょう。
事情があって期限を延長して欲しい場合は、しっかりとその背景を説明した上で、企業にお願いをすると、応じてくれる可能性もあります。エージェントが間に入っているのであれば、エージェントにお願いしましょう。応じてくれるかどうかは状況次第です。
4.内定受諾後の辞退は避ける。
内定を受諾した後に辞退するのは、相手企業にも自分のキャリアにも悪影響があります。受諾前にしっかりと判断するよう心掛けましょう。
企業は、あなたが入社することになった場合、受け入れの準備を進めることになります。PCの手配、配属の部署やチームを決めるなどの人事的な調整、研修の準備、健保や社保関係の準備など、人的・経済的なコストをかけて入社の準備を進めるわけです。
それを「やっぱやーめた」と言わんばかりに辞退するのは、可能か不可能かという問題以前に、モラルの観点からもやるべきではないでしょう。
もちろん、客観的に見てやむを得ない事情が発生してしまったのであれば、仕方ないこともあります。そういう場合は、理由をしっかりと丁寧に伝えたうえで、企業に説明をしましょう。
企業と人の出会いは縁ですから、どこでつながるか分かりません。仮にそのタイミングで入社しなかったとしても、次に転職活動をするときや本業で関わりが生じたときなど、良い印象は持ってもらえないでしょう。
その意味でも、不誠実な対応をしてしまったら自分に返ってくる可能性は大いにあります。
受諾するのも辞退するのも、回答期限までに行うことをしっかり守りましょう。
まとめ。
転職活動は、「自分の可能性を広げるための準備」のようなものです。転職を決断する前の段階でも、応募や面接を通じて情報を得ることで、キャリアの選択肢が増え、視野が広がります。
転職活動を始めるか迷ったときは、「一次面接で話を聞いてみたいかどうか」を基準に動き出す。
準備やリサーチは最低限でOK。転職の意思が固まっていなくても、活動は可能。
「転職する気はないけど転職活動をしてみる」という選択肢が、新たな可能性への第一歩になるかもしれません。まずは、気軽に行動を始めてみてください。
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